2010年02月05日

じゃが芋の食べ方(3)

じゃが芋の故郷は、アンデスの標高およそ4000mの高地にある大きな湖「ティティカカ湖」の周辺です。瀬戸内海ほどの面積があるこの湖からは、ボリビア側の「アポロバンバ山脈」の、氷河を被った6000mを超える高峰が遠くに眺められ、それはとても美しい風景です。(下の写真)
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マクロビオティックの世界では、「陰性」だからと言って、かなり嫌われているじゃが芋君たち。
米、麦、トウモロコシとともに、世界4大作物の一つと言われ、作付面積は世界で4番目に多いんだそうです。
ということは、実はみんな「じゃが芋」が好きなんじゃないかな〜〜〜exclamation×2と思ったりします。


ところで、こんな標高が高くて寒い原産地域の先住民たちの主食はもちろん、この「じゃが芋」にほかなりません。
では、彼らはその「陰性」さをどのように克服しているのでしょうか?。

先住民のインディオたちは、ほとんど「肉」を常食しません。
しかし、「チャルケ」と呼ばれる「干し肉」を時々使います。

「チャルケ」は、たとえばお金を得るために市場に家畜を売りに行くとします。
その時、解体した家畜の、骨の部分を持ち帰り、まるで洗濯物を干すように、庭の日当たりのいいところに干しておくんです。
そうすると、ほどなく乾燥肉の「チャルケ」が出来上がります。(下の写真)
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本当に「洗濯バサミ」を使っていますね、これって。
でも、私たち日本人のように、「海」に囲まれていないので、「昆布」のようなスープやその他の料理をするときの「出汁」がないんです。
そして、乾燥していて標高も高いので、「樹木」があまりありません。
だから、「椎茸」のようなキノコ系の出汁も望めません。
それで、牧畜と農業にいそしむ彼らは、こう言った「出汁」を使うようになったようです。
しかも、太陽に当てて乾燥させることにより、ただでさえ「陽性」の肉を、さらに陽性にしてしまう。
とことん「寒さ対策」を考えているんだな〜〜〜なんて感心してしまいます。


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前置きが長くなってしまいましたね。

では、彼らはどのように、じゃが芋を食べているんでしょうか?

まず、大きいものを選び、皮をむき、ゆでて食べるんですが、ここで一つ日本とは違う観念を持っているようです。
それは、 「調理してから時間がたって冷えてしまったじゃが芋は、2度と口にしない。」ということなんです。
つまり、陰性のじゃが芋を冷やして食べると、一層体が冷えるので、そうはしないということなんですね。

では、余ったじゃが芋はもったいないので、「どうするの?」と聞くと、「家畜にやるんだべ」と言います。
無駄にはしないんですよ。えらいっ手(グー)

日本では、「ポテトサラダ」なんて、マヨネーズで和えて、そして冷蔵庫に入れて、冷やして食べますね。
そりゃあ体が冷えて当たり前ですよ。台風

それと、あとはほかの野菜との組み合わせが大切です。

タンボロッジのホームページには、凍結乾燥じゃが芋の「チューニョ」は、「毒もすっかり抜けて、陽性になっている」という風にお伝えしていますが、その「チューニョ」と食べ合わせるんです。

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粉にしたチューニョと、じゃが芋が入った「チューニョ・ラワ」(おじやみたいなスープ)は、アンデスでも体を温める最強のスープだそうです。
特に、「アルパカ」の「チャルケ」で出汁を取るのが一番あったまるんだって晴れ晴れ
でも、私たちはベジタリアンでお願いしたので、このスープは「チャルケ」入れていませんけれど・・・

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こちらは「チャイリート」と呼ばれるスープです。
やはり「じゃが芋」と「チューニョ」が同居していますね。(白い塊がじゃが芋で、黒いものいがチューニョ)

私が初めてアンデスを旅したころは、マクロビオティックをやっていませんでした。(1983〜84年)
だから、保存食のチューニョと、そうではないジャガイモが一緒に入っているのが信じられなかったのです。
だって、「じゃが芋が食べられる季節には、じゃが芋を食べていればいいじゃん」猫と思いますよね。
チューニョは保存食だから、じゃが芋がない時に食べるものだと思い込んでいましたからモバQ
でも、マクロビオティックを学んだときに、この疑問が氷解したんです。
「陰」「陽」のバランスをこれでとっていたのか〜〜がく〜(落胆した顔)と。

だから、じゃが芋を食べる時には、必ず「体を温める陽性のもの」と組み合わせていただきましょう。

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時は12月。
アンデスでは比較的暖かい「夏」(雨季)を迎えていました。
この時の組み合わせも、陽性の「ニンジン」と陰性の「じゃが芋」。
バランス取れてますね、シンプルだけど。


★ じゃが芋は夏野菜

最近日本では、野菜の季節感がなくなり、冬でも多くの夏野菜が使われています。
昨年の12月に、九州のあるマクロビオティックを標榜するレストランでランチを食べると、なんと「じゃが芋のコロッケ」が出てきて、びっくりしました。
ただでさえ、「陰性」と嫌われているじゃが芋を、しかもマクロのお店で、さらに寒い冬に使うなんて・・・・・がく〜(落胆した顔)
これくらい季節感がないんですね。今は。
これじゃ同じ夏野菜の「トマト」や「きゅうり」を冬に食べるのと同じになってしまいますよ。


じゃが芋は、早いところでは春の5月頃から取れはじめ、冬枯れの一歩手前の晩秋まであちこちで収穫されます。
言ってみれば、「夏野菜」になると思うのですが、いかがでしょうか?
そして、晩秋に収穫されたじゃが芋は、「チューニョ」に加工しましょう。るんるん

新じゃがの季節から夏の盛りの頃までは、特別に病気やアレルギーがなく、健康なマクロ実践者ならば、ほどほどにじゃが芋を食べてもそんなに気にすることはないんじゃないかと私は考えています。
ただし、今まで述べてきたように、「毒をなるべく取り去る」、「食べ合わせ」、そして「冷やして食べない」などの工夫が大切ですけれどね。手(チョキ)

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posted by 料理長 at 22:34| Comment(5) | TrackBack(0) | アンデス・マクロ料理

2010年02月04日

じゃが芋の食べ方(2)

じゃが芋の食べ方、第2回目です。
今回は、じゃが芋に含まれるという「毒」について、考えてみることにしましょう。

 ★ じゃが芋の「毒」とは

じゃが芋には、「ソラニン」という毒が含まれていることは有名です。
ソラニンだけじゃなくて、「カコニン」とか「チャコニン」とかいう名前のものもあり、それらを含めて、「ポテトグリコアルカロイド(PGA)」と呼ぶそうです。

それらは、「アルカロイド配糖体」と言う毒で、水溶性ですが、加熱では分解しにくいんです。

・・・ということは、いくらじゃが芋を茹でても効果が薄いらしい・・・・

しかし、どんっ(衝撃)  「芽」と「皮」の部分に90%含まれているんです。
・・・ということは、「芽をとる」。そして「皮をむく」。
そうすれば、かなり減らせるということなんですよ。
アンデスでよく食べるじゃが芋も、「皮付き」で出てくる料理が少ないのも、こういうわけがあったからなんですね。

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ほらほら、フライドポテトも、ゆでたジャガイモも、ちゃんと皮がむいてありますよ。

マクロビオティックでは、「全体」を食べることを推奨しています。
だから、皮をむかなくてはいけないジャガイモは、「目の仇」にされているのかもしれません。

exclamation×2そして、さらに驚くべき事実が判明しました。exclamation×2

それは、同じ品種のじゃが芋であるならば、小さいものと大きいものでは、ほぼ同じ量の「毒」が含まれているのです。
・・・・ということは、「でっかいじゃが芋」のほうが、「毒」が薄いということになるのです。


さあ、ここまで来ると、お分かりの方も多いと思いますが、じゃが芋の食べ方としては、
★ なるべく大きいじゃが芋を選ぶ。
★ 目と皮は必ず取り除いて料理する

以上でかなりの「毒」を取り除くことができるんです。

アンデスの原種のじゃが芋は、品種改良されて栽培されているジャガイモに比べてその「毒」が30倍くらいあるそうです。
アンデスのインディオたちの品種改良の努力が、ここにも表れていますねえ。

そして、タンボロッジで冬に手作りしている凍結乾燥じゃが芋(凍みいも)は、じゃが芋の中の水分を押し出して作りますので、水溶性のじゃが芋の毒がすべて吐き出され、全くの「無毒」になっているんです。
これも、アンデスのインディオの知恵なんですよ。
素晴らしいぴかぴか(新しい)

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じゃが芋の毒は、「消化不良」を起こしたりする、それほど強くない毒です。
日本人1人当たりの年間じゃが芋の消費量は、約17Kgだそうです。
それに比べると、ヨーロッパ人のそれは、なんとがく〜(落胆した顔)100Kgもあるそうです。
日本人は「じゃが芋を食べない民族」ということができるんじゃないかと思います。


ところで、余談ですが、品種によるポテトグリコアルカロイド(PGA)の含有量が違うそうです。
多い品種は、「メークイン」。
少ない品種は「インカの目覚め」。
ほかにもいろいろあるそうですが、すべて調べきれませんので、気になる方はいろいろとネットで調べてみてくださいね。


明日は、体を冷やしにくいじゃが芋の食べ方を、じゃが芋の原産地、南米のアンデスの先住民の食べ方を参考に、いろいろと考えてみることにしましょう。

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posted by 料理長 at 23:14| Comment(2) | TrackBack(0) | アンデス・マクロ料理

2010年02月03日

キッチンカンナ→こと葉

昨日のお話です。
この日は、今年初めてのリフレッシュの日るんるんるんるんるんるん
宇都宮にあるマクロビオティック・レストラン「キッチンカンナ」と、那須にある穀物菜食レストラン「こと葉」のハシゴの日で〜〜す。わーい(嬉しい顔)わーい(嬉しい顔)

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宇都宮も、朝方雪が降ったようで、キッチンカンナの入口には、こんな雪だるまが作ってありました。
タンボロッジの周りはただ今積雪1m50cm。
これくらいの雪は、軽いもんですが、キッチンカンナのスタッフにとっては、そうでもないらしい・・・・
もうやだ〜(悲しい顔)こんな感じでした。

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さて、おいしそうなランチを「いただきま〜〜す」ぴかぴか(新しい)

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今日は丼物です。
「きび玉キツネ丼」、そして付け合わせに「大豆唐揚げと根菜のチリソース煮」、「ごぼうサラダ」です。
とてもおいしい〜〜〜exclamation×2

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そして、甘いもの好きの私は、やはりマクロビ・スイーツに走ってしまいました。
「りんご入りカスタードムースケーキ」。
飾りに梅の花が付いています。
もう咲いているんですね。
なんだかちょっとうらやましい感じがしました。

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そして、温泉に入った後の夕食は、那須にある穀物菜食レストラン「こと葉」でいただきました。
これは、この日のおかず6種盛りプレート。
いろいろあって、楽しめます。るんるん

昨日は本当にリフレッシュしました。
さあ、また深い雪の中、最後のチューニョ作りに励まなくては。
そして、味噌作りも待っているし、なんだかんだ言っても、冬でもやる事が結構あるもんですね。たらーっ(汗)たらーっ(汗)

2010年02月01日

じゃが芋の食べ方(1)

最近このブログも、「こんなの食べた」とか「これ作っておいしかった」的な、食い意地がはったものばかりが目立っていました。
そこで、少し反省してモバQ、マクロビ的に少しは役に立つ情報を時々アップしようと思いつきました。ひらめき

その第一弾として、マクロビオティックでは嫌われ者の「じゃが芋」ちゃんに登場いただくことにいたします。


 ★ 嫌われ者のじゃが芋

じゃが芋は、マクロビオティックでも「陰性」だとか「毒がある」とか言われ、かなりパンチ嫌われています。

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おらおらおらおら、「陰性」にしてやるぞ〜〜どんっ(衝撃)
なんて言うキズものの「やーさんじゃが芋」があるせいか・・・・・なんちゃってモバQ

しかし、体を冷やすので絶対によくないなどと言われ、マクロビオティックのレシピにも、ほとんど登場しません。

同じ「陰性」でも、「米飴」や「メープルシロップ」、「甜菜糖」なんかは、みんな大好き揺れるハート

えらい違いです。

そして、「Organic Base」と言うマクロビを解説した本の中には、こんな記述もあってびっくりがく〜(落胆した顔)
・・・「じゃが芋は熱帯原産のもの」
・・・「征服したスペイン人が現地のインディオを弱らせるために無理やり食べさせた」
・・・「もし食べるとしても、手でたたいてつぶしてから食べる」
など・・・・・・・

「じゃが芋」はアンデス原産です。
ペルーとボリビアにまたがる「ティティカカ湖」周辺が故郷と言われています。
緯度的には確かに「熱帯」に位置しますが、「ティティカカ湖」は、標高4000m位にある「瀬戸内海」くらいの広さがある湖なんです。
つまり、標高3776mの「富士山」の頂上よりも高い所に位置しているんです。
ですから、気候的には結構寒いです。
「乾季」の冬の6月〜7月(南半球だから)にもなると、夜は氷点下まで気温が下がる厳しい気候の場所なんです。
だから、とても「熱帯」とは言えません。

だって、暑い夏の日本で、富士山のふもとの静岡県で気温が32〜33℃もあるような日に、富士山の頂上は気温が8〜10℃くらいで、「寒い」くらいですからね。

そして、アンデスでは、じゃが芋は1万年以上も前から食べてきた歴史があるんです。
山本紀夫さんの「じゃが芋とインカ帝国」という本には、そのことが詳しく書いてあるんです。
そして「インカ帝国」を支えた「主食」であるとも・・・・
決して「征服したスペイン人が現地のインディオを弱らせるために無理やり食べさせた」物ではないのです。

さらに「もし食べるとしても、手でたたいてつぶしてから食べる」などは、タンボロッジでよく作っている「チューニョ」(凍結乾燥じゃが芋)のことを、勘違いして書いているとしか思えません。

このように、誤解にまみれた「じゃが芋」君たち。
同じ「陰性」の「米飴」や「メープルシロップ」、「甜菜糖」に比べたら、本当にかわいそうです。

そこで、この「じゃが芋の食べ方」シリーズでは、その誤解を解き、偏見をなくし、皆様の楽しいマクロビオティック・ライフのお役にたてればと思い、じゃが芋の原産地、アンデスの食べ方を交えながら、「陰性」に傾かない「じゃが芋」の食べ方を探っていきたいと思います。

じゃが芋の食べ方(2)へ続きます。こちらをクリックしてください。
posted by 料理長 at 14:41| Comment(4) | TrackBack(0) | アンデス・マクロ料理